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ミュシャのポスター

先日バルセロナで、ある個人が所有しているポスターのコレクションの展覧会に行きました。展示されていた作品はどれもアール・ヌーヴォー時代のもので、主にその時代のスペインの広告ポスターが展示されていました。そして、スペインのお隣の国、フランスのポスターも何点か展示されていたのですが、その中でもやはり目を惹いたのがアルフォンス・ミュシャのポスターでした。

ミュシャといえば美しい女性像とその卓越した繊細で優美なデザイン性とタッチが大きな特徴です。今回展覧会で目にしたミュシャのポスターはJOB社のための広告ポスターでした。JOB社は煙草用の巻紙を製造する会社でした。JOB社の広告ポスターのために、ミュシャは画面いっぱいに女性を配置し、迫力ある構図を創りました。躍動感のある渦巻いた長い髪の毛は、まるで煙草の煙が燻る様子を私達に連想させます。そして赤い大きなヘア・アクセサリーが画面の中で美しいアクセントとなっていますが、それは煙草の巻き紙とJOBの社名をひきたたせているかのようです。このポスターには全体的にアール・ヌーヴォーの特徴が見受けられ、どこか退廃的な空気が漂っています。それにしてもミュシャの描く女性は、煙草をもっていても擦れっ枯らしな印象など微塵もなく、まるで煙草のミューズのごとき品性が感じられるのは流石です。

ところで、このミュシャのポスターの中で女性が煙草を持っている手のしぐさが日本の浮世絵の美人画の手の所作と共通するものがあるともいわれています。アール・ヌーヴォーの時代にヨーロッパではジャポニスム、日本美術の影響を受けていますので、ミュシャが浮世絵を意識したかどうかはわかりませんが作品に浮世絵の影響が見られるのは何ら不思議ではありません。

ミュシャはポスターを単なる広告から芸術の域に高めました。そしてミュシャがポスターの中に描いたものは百年以上の時を経た現在でも、決して古びて見えることはなく、デザイン力とその完成度の高さには目を見張るばかりです。
迅速さや利便性からか、昨今の広告ポスターはどれもパソコンで描かれたものがほとんどです。それらの中には発想の素晴らしいものもあり、今の時代に大変そぐうものかもしれませんが、ミュシャのような広告が印刷されていた時代の方がどこか豊かな気がするのはあまりにも懐古主義でしょうか。

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by galerie-h | 2016-08-29 11:54

ミュシャの祈り


数多くの商業用ポスターや挿絵を手がけ、アール・ヌーヴォー様式を代表する巨匠として広くその名が知られているアルフォンス・ミュシャ。

アルフォンス・ミュシャはパリで成功を収め、活躍した芸術家です。しかしながらミュシャがアール・ヌーヴォーの作家としてパリで活動していたのは、ほんの10年ほどでした。パリで商業的に成功をおさめた後は祖国チェコに帰国して芸術活動を続けました。そして晩年には祖国チェコのために連作「スラヴ叙事詩」を制作するなど愛国者として素晴らしい作品の数々を残しました。

ミュシャは「スラヴ叙事詩」を制作した10年後にチェコにあるプラハ聖ヴィート大聖堂のステンドグラスのための原画を制作しました。
実際にこの大聖堂に足を運び、そのステンドグラスを鑑賞したことがあるのですが、その時のことは今でも鮮烈な印象として脳裏に焼き付いています。大聖堂に足を踏み入れると、石の壁に様々な色彩の光が反射されていて、神々しい雰囲気を放っていました。どのステンドグラスも美しいものでしたが、ミュシャのステンドグラスはそれらの中で一際目立っていました。ミュシャ独特の精巧で緻密なタッチと、その優美な色彩感覚で彩られた素晴らしいステンドグラスの仕上がりに、その前で立ちすくみ、顔を見上げ長い間ただただ眺めていました。ミュシャのステンドグラスを鑑賞することで、新たなミュシャの一面を発見したような気持ちになりました。広告ポスターやイラストレーションとしてのミュシャの絵とは全く違う印象の、それはまるでミュシャの祖国へ込めた強い「祈り」がステンドグラスの作品の中に滲み出ているようでした。

ミュシャは晩年、「ミュシャの絵画は、国民の愛国心を刺激するものである」という理由でナチスのゲシュタポに逮捕されてしまいます。その後釈放されるものの体調を崩し78年の生涯を終えました。ミュシャは芸術について次のような言葉を残しています。
 
「芸術はただ精神的なメッセージを伝えるためだけに存在する。」

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by galerie-h | 2016-08-10 12:32
夏の風物詩のひとつ、「花火」。夏の夜空に色鮮やかな大輪の花を咲かせ、そして一瞬にしてぱっと散るその姿は、鑑賞する私達に(もののあはれ)すら感じさせます。日本人的な情緒に訴える「花火」をテーマにした作品といえば山下清の作品が頭に浮かびます。
山下清という名はその生き様が度々映画やドラマ化された影響で、日本で大変広く知られている「放浪の天才画家」ではないでしょうか。

前回のブログでアール・ブリュット(生の芸術)について書きました。アール・ブリュットは美術界の伝統や流行といった潮流の影響を全く受けない、独創的な絵画や造形のことを指すものです。自分の内側から自然と湧き上がるものを、ただひたすらに表現し続けた山下清の作品は立派な日本を代表するアール・ブリュット(生の芸術)です。

山下清の作品が多くの人の感動を呼び起こすのは、なぜでしょう。それが「ただ描きたい」という素直な衝動によって手がけられたものだから、その純粋さが私達の心に響くのでしょうか。それともその驚異的な映像記憶力が再現した作品の緻密さとセンスが私達を驚嘆させるのでしょうか。
いずれにせよ山下清の作品には牧歌的な空気が流れていて、それは鑑賞する私達をおだやかな気持ちにさせてくれるような気がします。

花火が大好きだった山下清は生前、花火大会を鑑賞するために全国に足を運びました。彼が手がけた数々の「花火」の作品の中でも有名な『長岡の花火』は信濃川の水面に写る花火が印象的に表現されています。
山下清は花火について次のような言葉を残しています。
「みんなが爆弾なんか作らないで、きれいな花火ばかり作っていたら、きっと戦争なんて起きなかったんだな」

そして山下清は最後に「今年の花火見物はどこにいこうかな」という言葉を残しました。

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by galerie-h | 2016-08-01 11:57