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布で包まれた凱旋門 (クリストとジャンヌ=クロード)

現在、パリの凱旋門がすっぽりと布で覆われています。布で包まれた凱旋門は修復工事のためなどではなく、9月18日から10月3日までのテンポラリーなアート作品として、意図的に布に覆われているのです。この期間限定のアート、誰もが布で覆われた凱旋門を眺め、触れることができるようになっています。

作品のタイトルは「L’Arc de Triomphe, Wrapped」

この作品を構想したのは、今は亡きクリストとジャンヌ=クロードです。クリストとジャンヌいえば、環境アート作品を産み出してきた芸術家夫婦。この二人はその作品から『梱包のアーティスト』とも言われてきましたが、それは二人の意に沿わなかったようです。


兎にも角にも、この二人のアーティストが60年来温めてきた夢が、この度実現しました。本人達が故人であり、この世に不在でも、その作品はこの世に残り、彼らの名前が語られる。芸術の力とその永遠性を見る思いです。


それにしても、このパリのエトワール凱旋門の作品は特にフランス人の間で物議を醸し出しているようです。実際にあるフランスの知人がSNSでこの作品について疑問提起していて、そこに数え切れないほどの人々の意見や論争が繰り広げられていました。どちらかというとネガティブな意見が多いなという印象を持ちました。

例えば、


「なにこれ、巨大雑巾で覆われてて、これがアート?」

「こんなものに多額の費用を費やすならば、他にもっと費やすべきものがあるのではないか?」

*これに関してはこの意見を述べられた方がご存知かどうかはわかりませんが、この凱旋門を覆うプロジェクトにかかった巨額の費用は全てクリストが賄っています。


「観光ではるばる遠くから凱旋門を見に来た人がこれを見たらがっかりするだろう」


などなど枚挙にいとまがありません。


中には、

「1985年にクリスト達がパリ最古の橋、ポン=ヌフを完全梱包した時はここまで否定的な意見は聞かれなかった、最もその当時は今のようなSNSもなかったのだが。。」

という意見も。


布で包まれたエトワール凱旋門、これがアートか否かという野暮な論議はさておき、私が感心してやまないのは、やはりこれだけの大規模かつ大胆なプロジェクトを考え出したクリストと、世論はさておき、このご時世に、それを寛容に受け止められる土壌がある国が存在するということです。やはりこういう土地ではアートは朽ちないのだろうなぁ、と凱旋門の写真を見ながらぼんやりと思いました。



布で包まれた凱旋門 (クリストとジャンヌ=クロード)_e0122611_13220908.jpg



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by galerie-h | 2021-10-01 13:23