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ピカソの光と影

芸術家ピカソは91年という長い生涯の間に数多くの作品を残しました。また、ピカソのエネルギッシュでパワフルな芸術活動は、数多くのピカソに関する書籍やドキュメンタリー映画などにも様々な人物によって記録されています。ピカソが芸術家として大変大きな成功を収めたことは、世界中の人々が知るところです。いわばピカソの人生の光の部分は誰もが知っています。ですが、その大成した人生の裏に、一人の人間としてどれほどの苦悩や影があったかを想像するのは容易くありません。

我々がピカソに関する映画や書物を多数読んだところで、その人生の影の部分をどこまで深く知ることが出来るというでしょう。


ピカソの苦悩といえば、広く知られている、「ピカソの青の時代」の作品の数々。何故ピカソは暗いテーマを、青を基調として憂鬱で陰鬱な絵を描いたのか。

そこには様々な推測や説がありますが、親友カサジェマスの死という事実は、青の時代へとピカソを向かわせた大きな引き金の一つでした。


ピカソは若い頃に、行きつけのカフェで自分とは対照的な性格のカサジェマスと知り合いました。互いに違いながらも、芸術を愛する仲間として若い二人は意気投合し、パリへ一緒に旅立ち、互いに共同生活をしながらアトリエを構えました。そこでカサジェマスは一人のモデルへ深い恋心を抱きましたが、その恋心が報われることはありませんでした。そこで意気消沈している親友を励ますために、ピカソはパリからしばし離れて自分の生まれ故郷マラガでクリスマス期間を親友と共に過ごすことにしました。しかしパリからピカソの故郷に来た二人の間に亀裂が入ります。カサジェマスがピカソの故郷の友人達と激しく口論したことがきっかけでした。そこでピカソはカサジェマスと距離を置くことを決めて、一人マドリッドへと旅立ちました。そして一人残されたカサジェマスは断ち切れない恋心を引きずってパリへと戻りました。そしてあまりにも有名な悲劇が起こります。カサジェマスはパリのカフェで自殺しました。親友の突然の死、それがどれほどの打撃をピカソの心に与えたことでしょう。ピカソがカサジェマスの死後に描いた「人生」。わずか20歳ほどの青年がここまで深遠な絵画を描いたことに驚嘆せずにはいられません。

技術や画才だけではなく、深く人生と向き合った暗い影が、ピカソの光の部分を支え、形作ってきたのではないかと、凡人の私たちは残された作品から様々な解釈を想像するのみです。


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by galerie-h | 2021-08-31 13:49