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東山魁夷の「道」

「ひとすじの道が、私の心に在った。

 夏の早朝の、野の道である。」   

 

1950年に東山魁夷が描いた「道」という作品。まっすぐと続く道が最小限の色彩と構図で描かれたこの作品、鑑賞する人に静かな想像力を働かせます。


東山魁夷は「道」という作品を第六回日展へ出展し、この出品作が多くの人々の共感を得て、画壇的にも世間的にも認められるようになった事を、後に著書で語っています。そしてこの作品をどのように描いていったか、という事を次のような率直な文章で述べています。

 

 “縦長の画面の、ほぼ中央に、やや、ピンク色がかったグレーの道、左右の叢や丘は青緑色、空は狭くとり、青みがかったグレーにした。この三つの色の分量の対比を考えた。出品作としては、ずいぶん小さい画面であるが、これ以上大きくすると画面の緊密感がうすれると思った。小さ目の画面を充実させることが、この絵の場合、必要であると考えた。こつこつと積み上げるような丹念な描き方で仕上げて行った。”


東山魁夷はいつも旅をし、旅を人生とも、芸術とも感じている人間であると自らを内観していました。


国内外、様々な旅を重ねてきた東山魁夷は「道」を制作するにあたって、現実の道のある風景でなく、象徴の世界の道が描きたかったと言っています。

戦前スケッチをした場所に着想を得た東山魁夷は、十数年の時を経て、再びその場所を訪れ写生をしました。そして様々な熟考を重ねて「道」の制作の準備を進めていったのでした。


東山魁夷の「道」は画面を越えて、その絵を見る人の心の中にも、様々な心象風景の道を映し出してくれます。




by galerie-h | 2020-07-30 14:37