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上村松園(絵に込められた思い)前編

「秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず」


上記の言葉は、世阿弥が自身の著書『風姿花伝』で述べた一節です。『風姿花伝』は能楽書であるため、この一節は能の奥義として知られていますが、様々な解釈がなされていて実に奥深い言葉です。

 

ところで、能から着想を得て名画を描いた近代画家は何人もいます。能を描いた画人といえば、皆様はどのような画家の名前が思い浮かびますでしょうか。


能を題材にした作品を手がけた、近代の女流画家といえば、上村松園です。京都人である上村松園は、能を嗜んでいましたので、そこから着想を得ることは自然な流れだったのでしょう。


美人画でもよく知られる松園は、気品に満ちた、清らかで美しい女性を描いていきましたが、40代に入り、今まで描くことのなかった女性を描きました。謡曲『葵の上』に登場する、嫉妬の情念に狂う、六条御息所の生霊を描いたのです。

その作品は大作で、凄まじく、見るものを圧倒する迫力のある絵です。

「焔」という題がつけられたこの作品は、今まで以上に、松園の評価をさらに高めることになりました。

松園はこの作品について、本人も何故このような作品を描いたのかわからないと語ったようです。 


松園の当時のプライベートな理由とこの作品を結びつけるのは、短絡的かもしれませんが、松園自身の隠すことのできない、内に秘めた焔のような当時の思いが、この作品にまるで生霊のように溢れているからこそ、見るものを圧倒するのではないでしょうか。


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by galerie-h | 2019-09-30 12:52