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ピカソのポートレート

美術館に行くと、展覧会で扱われている作家に関するキャプションや写真を、そこで必ず目にします。

だいたい必ずと言っていいほど、作家の肖像写真が作品とともに展示されているのではないでしょうか。

その作家の生きた時代が近現代であればあるほど沢山の写真が残っていますし、場合によっては、肖像写真だけではなく日常の一コマを写したかのような写真も見ることができます。


写真に収められた芸術家の姿を見ると、そこから想像が膨らみ、様々なドラマや人物像が垣間見られるような気がします。その光景やイメージがノンフィクションかどうかは被写体のみぞ知るところですが。


フランスの写真家ロベール・ドアノーが手がけた、ある生前のピカソのポートレートはあまりにも有名なので、ご覧になった方も沢山おられるかと思います。

 ある一枚の白黒写真に写るピカソの上半身。マリンボーダーの服に身を包み、特徴的な大きな目は何かを見つめているようで、ギョロっと視線を横に向けています。ピカソが座っている前にある食卓テーブルの上には、赤ワインのボトルや塩、コップやお皿、そしてパンが置いてあります。面白いことにテーブルの上に置かれた大きなパンは、ちょうどピカソの腕の前に二つ置かれ、あたかも巨大なピカソの手のように見える大変ユーモアあふれるポートレートです。この写真のタイトルは「ピカソのパン」とつけられました。


「私は対象を見たままにではなく、私が思うように描くのだ。」


とは、巨匠ピカソの言葉ですが、この写真家は、そのようなピカソの自我や特徴をよく捉えていて、それをこの一枚の写真で表現していますが、そこに力みはなく、すっとさりげなくピカソの自然な姿を撮っているように見える、何ともエスプリの効いたポートレートに仕上がっています。


ピカソのポートレート_e0122611_07375554.jpg




by galerie-h | 2019-08-30 11:22