アンディ・ウォーホルとクリスマス
2018年 12月 03日
12月になると、クリスマスの時期が到来したことを告げるかのように、街や店舗のショーウィンドーが、クリスマスの飾りつけやイルミネーションで鮮やかに彩られる光景が目に付きます。 この時期には様々な種類のクリスマス用のグリーティングカードが店舗に並んだりします。欧米人にとってこのクリスマスカードはとても馴染みのあるもの。クリスマスカードの起源は古く1840年にまで遡りますが、クリスマスカードを送る習慣が普及するのは、印刷技術が進歩して大量生産が可能となる時代になってからのことです。
1956年、宝飾品でその名が知れたティファニー社はアンディ・ウォーホルにクリスマスカードのデザインを依頼しました。そして1962年まで毎年ウォーホルがデザインするクリスマスカードがティファニー社によって発行されました。アンディ・ウォーホルはクリスマスツリーや星、プレゼントなど沢山のクリスマスのモチーフを繊細なタッチで描きました。とりわけ、ウォーホルは食べ物をクリスマスカードのテーマとしてよく使いました。ワインやフルーツが沢山詰められたバスケットに、赤いリボンがかかっている様子など、人々が思い描く幸せで完璧なクリスマスのイメージがアンディ・ウォーホルによってクリスマスカードの一枚、一枚に表現されました。クリスマスというテーマ自体がアーティストとしてウォーホルに興味を与えたようですが、実際にとても本人はクリスマスが大好きだったようです。アンディ・ウォーホルはポップな物が大好きでした。考えれば、今私たちが街で目にする『クリスマス』は大変「ポップなもの」と言えます。現代のクリスマスは物質的で、全世界中に知られていて、キッチュで民主主義的で。。その実、中身は空虚な資本主義の大量消費のクリスマス。何ともウォーホルが喜びそうなテーマが『クリスマス』に詰まっています。
実際のところ、アンディ・ウォーホルは子供時代にアメリカらしい完璧なクリスマスというものを経験していません。それは彼の家族が貧しかったということ、又、移民でありビザンチンカトリックの家であったため、ウォーホルの家ではクリスマスは1月6日に祝っていたのです。
ニューヨークの教会で、慈善の食事を配る生前のアンディ・ウォーホルの姿が映っている写真が今に残っています。その写真についてある記者が「そこには何の飾りつけも見えない、だがそこにクリスマスが見える」と発言しています。