ジョルジュ・デ・キリコの芸術
2017年 10月 30日
先日ジョルジュ・デ・キリコの展覧会へ行く機会に恵まれました。多数のキリコの絵画や彫刻などの作品が並ぶ展覧会で、会場では熱心に作品を鑑賞する多数の人々の姿が見受けられました。古典的な絵画が展示されるクラッシックな展覧会に比べると、とりわけ若い鑑賞者の姿が目立ちました。
形而上絵画(実際には見ることができない現象や景色を描く絵画の様式)の祖であるジョルジュ・デ・キリコ。彼の絵画のオリジナリティーや表現方法等、それらは見る人が自由に感じればよいのであって、ここであえて特筆すべきことはありませんが、彼が美術界に残した功績を考えると、その評価には計り知れないものがあるなと思うのです。
ジョルジュ・デ・キリコの作品はシュルレアリスムに多大な影響を与えました。
そしてジョルジュ・デ・キリコの作品は、数々の芸術家達にインスピレーションを与えたのです。かのサルバドール・ダリはキリコに憧れ、ポップアートの巨匠、アンディ・ウォーホールもキリコの影響を受けました。
日本の具体美術協会の創設者、吉原治良もキリコに傾倒していた時期がありました。
ジョルジュ・デ・キリコは何故多くの影響を美術界に与えたのでしょう。何が多くの芸術家の心をとらえたのでしょうか。それはキリコの絵画を見て、何かを感じる、感じ取ったものにしかわからない、幻影のようなものなのかもしれません。
ジョルジュ・デ・キリコの作品の世界観の根底にある思想、哲学は私達には計り知れませんが、キリコが芸術について語った言葉に、芸術に対する姿勢のようなものが少し垣間見えます。
『不滅の芸術作品となるためには、人間の限界から逃れなければならない。論理や常識といったものだけが、芸術にとって唯一の妨げとなるだろう。しかし一度これらの障害が壊されるならば、芸術は子供の頃の幻想や夢といった領域に辿り着くだろう。』
ジョルジュ・デ・キリコ
