佐伯祐三と秋
2017年 09月 29日
秋分の日が過ぎると、これからしだいに日が短くなり、秋が深まっていきます。
秋といえば、個人的にはフランスの詩人、ヴェルレーヌの「秋の歌」という詩が心に浮かびます。
「秋の歌」(落葉)/訳詩 上田敏
秋の日の
ヰ゛オロンの
ためいきの
身にしみて
ひたぶるに
うら悲し。
ふとこの詩の言葉に想いを馳せた時に、30歳の若さで夭折した洋画家、佐伯祐三の作品が脳裏に浮かびました。
うら寂れたパリの街の光景を、その石造りの建物や、街角や店先にあるポスターや広告を、独特のタッチで重厚感あふれる作品に仕上げた佐伯祐三。ともするとその作品は陰鬱な印象を与えますが、そこがまたパリという異国の地をよく現しているようにも感じられますし、何より何処かもの悲しい哀愁すら漂っています。それが佐伯祐三の作品に魅了される人々がいる由縁なのかもしれません。
ところで、ここではあえて詳しく言及はしませんが、佐伯祐三に関してはミステリアスな論が存在します。彼の作品のいくつかは佐伯夫人、米子による代作、加筆だったという見解です。
いずれにせよ、佐伯祐三は30年という短い生涯の中で、激しく燃える炎のような情熱で創作活動に望んだ希有な芸術家でした。その生涯の閉じていった様も、やはりどこかヴェルレーヌの「秋の歌」のような哀愁があるように感じます。
「秋の歌」(落葉)/訳詩 上田敏
げにわれは
うらぶれて
ここかしこ
さだめなく
とび散らふ
落葉かな。

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