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時代を超えて愛される絵師 伊藤若冲

今年は伊藤若冲の生誕300年ということで、国内各地で大規模な展覧会が催されたり、テレビ番組で伊藤若冲の特集が組まれたりしています。このように今年は伊藤若冲にスポットがあたり、世間ではますますこの天才絵師への再評価や人気が高まっていることかと思います。

伊藤若冲の作品と言えば、様々な動植物を描いた最高傑作、『動植綵絵』が代表作といっても過言ではないほどによく知られています。伊藤若冲はするどい観察眼で対象物をとらえ、切れのあるたぐいまれない描写力で草花や鶏、魚介類などを描きました。当時最高品質の画材が使われたため、何百年も経った現在でも発色の美しさがうかがえます。

『動植綵絵』のような極彩色の伊藤若冲の作品は大変魅力的ですが、濃淡の墨を巧に使い分け描かれた作品もなかなか味わい深いものです。釈迦が入滅する場面を野菜を使って描いた『果蔬涅槃図』は、モノクロながら伊藤若冲の多彩な技法と表現力が遺憾なく発揮されています。釈迦になぞらえて二股の大根をごろんと横たえ、そのまわりにさまざまな野菜や果物が本当に悲しんでいるように描かれています。それにしてもなぜ野菜や果物が『涅槃図』に使われたのでしょう。これに関しては特にこうだという説はありませんが、伊藤若冲が京都の青物問屋の息子として生まれ、その商売をしていたことがどこかでこの『果蔬涅槃図』のインスピレーションとして影響したのかもしれません。

いずれにせよこの斬新なアイデアは天才絵師の柔軟な感性と自由な想像力のなせる技だったのでしょう。

伊藤若冲は『自分の価値がわかる人を千年でも待とう。』という言葉を遺しています。当時、狩野派といった主要な流派には属さず、遅咲きの独学で一匹狼のごとく画業の道を開拓し、独自の画法を確立した伊藤若冲の自分の絵に対する強い覚悟と信念を感じる言葉です。そして彼の言葉は千年も経たずして現在、天才絵師として広く評価されています。

優れた色彩感覚や描写力のみならず、画面上の対象の構成力とその独特のセンスの中に、『果蔬涅槃図』の作品にうかがえるような、ヒューマニズムに満ちた万物へのあたたかい視線が感じられるのも、伊藤若冲が時代を超えて多くの人々を魅了するひとつの由縁なのかもしれません。


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by galerie-h | 2016-09-27 14:49