アール•ブリュット(生の芸術)
2016年 07月 05日
ジャン・デュビュッフェは1950年代の前衛美術運動を担ってきた重要人物の一人です。彼はパリのアカデミーで絵画を短期間学びましたが、芸術への不信から絵を一時は放棄し、家業のワイン商に従事しました。しかし40歳を過ぎて再び絵に専念する決意をしました。ジャン・デュビュッフェの作品を見れば顕著なのですが、彼の作品には西洋美術の洗練された技法や様式などは見受けられません。彼は「生の芸術」という新しい価値観を世に提唱したのです。
広義にはアール•ブリュット(生の芸術)は既存の美術の潮流に影響を全くうけていない絵画や造形といった芸術作品のことを指します。1940年代のパンフレットには「アール・ブリュット(生の芸術)は、芸術的訓練や芸術家として受け入れた知識に汚されていない、古典芸術や流行のパターンを借りるのでない、創造性の源泉からほとばしる真に自発的な表現。」と書かれています。
具体的にはどのような作品がアール・ブリュット(生の芸術)といえるのでしょうか。ジャン・デビュッフェは子供や精神障害者らの絵をアール・ブリュット(生の芸術)として高く評価しました。教育や文化、又は社会の中の既存の価値観にとらわれることなく自由に表現するその創造性は、まさにジャン・デュビュッフェが指摘するところの純粋な生の芸術なのです。ジャン・デュビュッフェはアール・ブリュットを深く追求し、自らの制作のみならず数々のアール・ブリュットをコレクションする事にも精力的でした。ジャン・デュビュッフェはアール・ブリュットを提唱する事で美術史上に新たな風穴を開けました。
「芸術はわれわれが用意した寝床に身を横たえに来たりはしない。芸術は、その名を口にしたとたん逃げ去ってしまうもので、匿名であることを好む。芸術の最良の瞬間は、その名を忘れたときである。」
ジャン・デュビュッフェ
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