小磯良平
2015年 11月 30日
異国情緒漂う港町神戸のモダンな空気のもと、クリスチャンの母親の影響を受け、小磯良平は幼い頃から和洋折衷な環境の中で育ちました。絵が大好きだった少年は洋画家を目指し東京美術学校(現東京芸術大学)に入学し、首席で卒業。その後二年間のパリ留学中に様々な西洋芸術に触れるべくヨーロッパ中の美術館を巡り神戸に帰郷します。帰国後は画家仲間とともに新制作派協会(現・新制作協会)の結成に加わります。以後精力的に活動し、正統的な古典主義芸術を追求しました。
ところで小磯良平の作品として一般的によく知られているのは美しい女性の肖像画ではないでしょうか。着物を着た清楚な貴婦人からドガの踊り子を彷彿させるようなバレリーナ姿の少女まで、小磯良平氏は様々な女性像を作品に残しています。その卓逸したデッサン力で描かれた肖像画の女性達はどれも清楚で気品にあふれていて、爽やかな印象を見る側に与えてくれます。
晩年の小磯良平は自然光の入る大きな窓のあるアトリエで午前中の制作を好みました。朝早くに起床してアトリエに赴き、まず大好きな珈琲を飲むことが日課でした。そしてモデル達はだいたい決まって午前中に小磯良平のアトリエに赴いていました。午前中二時間ほど制作に励んだ後は大好きなクラッシック音楽を聞いたりしながらゆったりとした時間を過ごしていたようです。
小磯良平が他界する前年に「帽子の少女」が描かれ、これが絶筆といわれています。晩年に絵筆を強く握る力がなかった小磯良平は画材としてパステルを選びこの作品を描きました。優しい微笑みを浮かべている少女の顔が柔らなパステルのタッチで描かれた作品です。
彼の描く女性像にはどれも朝の光のベールをまとっているかのような爽やかで柔らかい美しさが感じられるのは、それがテクニックや才能だけではない、小磯良平のもつ穏やかな人柄やその生き方がそこに反映されているからなのかもしれません。
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