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by galerie-h

福田平八郎の『雨』

ここ最近、日本列島は異例の猛暑に見舞われました。季節外れの猛暑には辟易してしまいますね。

そうこうしているうちに、これから梅雨の時期がやってきます。合理的な理由から、梅雨の時期を嘆く大人がいる一方で、「あめふり」の童謡の歌詞にあるように、小さな子ども達が嬉しそうに雨の降る中を、レインブーツや小さな傘を持って、楽しそうに歩く姿が見られるのも雨の日の一興と言えるでしょうか。

さてここで、絵心をお持ちの皆様が、「雨」をテーマとして一枚の絵を描くとすれば、どのような雨の情景を描こうと思われるでしょうか。

 

日本画家の福田平八郎は一部分の瓦屋根を描いて、それに『雨』というタイトルをつけました。その絵がどうして『雨』なのか、答えはこの作品を一目鑑賞すれば自ずとわかります。

福田平八郎が描いた瓦屋根をよく見ると、ポツポツと降ってきた雨の水滴の跡が瓦屋根に滲んでいる様子が描かれているのです。雨の日の空気中に漂う、まるで雨水の匂いがこちらまで感じられるような味のある作品です。 

そしてこの作品、屋根全体ではなく、屋根瓦の一部分を描くという独特の構図の取り方が、モダンなデザインのようにも、もしくは、どこか抽象画のようにも見えます。これが現代ではなく、昭和20年頃に描かれた作品なのですから感服します。


作家は特別な雨の情景を描いた訳ではなく、日常に何気なく見えた、雨の景色の一齣を自分のフィルターを通して絵筆で表現しました。


福田平八郎は水をテーマとした作品を他にも残しています。じめじめと暑い日に、目からも涼を感じたいと思われる方は、清涼感のある福田平八郎の作品をご覧になってみてはいかがでしょうか。

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# by galerie-h | 2019-05-31 11:18


先日スペインからフランス国境付近への道中で、あたり一面がひなげしの花で真っ赤に染まる景色を目にしました。その景色を見てクロード・モネが描いた花畑が即座に脳裏に浮かんできました。モネといえば晩年に描いた「睡蓮」などが有名ですが、皆様はモネの作品といえばどのような絵画を想起されますか。


モネは自然光をとても愛した画家で、主に屋外で作品に取り組む姿勢と、その作風は印象派の代表として広く知られています。


モネがパリ近郊の町、アルジャントゥイユにアトリエを構えたのは1871年のことでした。ここにはわずか6年しかいなかったのですが、ここでの日々は芸術家のモネにとって、そしてまた彼の絵描き仲間でもある印象派の画家達(シスレーやマネ、ルノワール)にとってとても実りのあるものでした。

 この地域の様々な景色や情景は、モネに余すことなく幻惑的な自然光をふりそそぎ、そしてモネはそれらをパレットの中で美しい色彩へと変えていったのです。

そういったモネにとって幸せで充実していた時期に描いた作品が「ひなげし」でした。この作品には複雑なものは何もありません。そこに描かれているのは、一面のひなげしが咲く丘をゆっくりと歩く一人の女性とその横でひなげしを持っている小さな子供の姿。女性はモネの妻のカミーユで、横の子供は息子のジャンだと言われています。この作品、じっと眺めていると風の囁く音が聞こえてきそうな、雲がゆっくりと動いているような、そんな錯覚を覚えます。そういった錯覚を鑑賞者に与えてくれるのは、モネの卓越した表現力によるところでしょう。アルジャントゥイユの花畑での一瞬の風景をスローカメラでとらえたような躍動感のある一枚。


もしパリまで足を運ばれることがございましたら、オランジュリー美術館に展示されている大作の「睡蓮」だけでなく、オルセー美術館でひっそりと展示されている小さな作品「ひなげし」も、是非注目していただきたい一枚です。

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# by galerie-h | 2019-05-08 13:31

ミロの自然賛美

草木が芽吹く季節、日差しも暖かくなってきて春の訪れを日に日に感じられるようになってきました。春になると、桜前線が天気予報とともに告げられますが、

身近に自然を感じて愛でることが好きな国民性ならではのことでしょうか。そういった日本人の花鳥風月を愛でる美的感覚は様々な日本画に表現されていますが、海外の絵画はどうでしょうか。


 カタルーニャの画家、ジョアン・ミロは生前に多様な技法を使い、様々な絵画を描きました。伝統的な流儀で描いたものもあれば、好奇心や探究心から、何ものにもとらわれない自由なスタイルで描いたものもあります。

年齢を重ねて晩年に描かれたものは、非常に感覚的で色彩も形もシンプルです。ミロは太陽や月、星、鳥、女といったモティーフを繰り返し描いていますが、それらはまるで記号のようにシンプルな形と色で描かれています。ミロは自分が描いた作品の中の、記号のようなモティーフが持つ意味などを考察される事を好まなかったようです。

ミロがどのような思いを込めながら絵筆を握りしめて、星や太陽を描いたかは知る由もありませんが、そこには我々が花鳥風月を愛でる気持ちと共通するものがある気がします。眩い光の降り注ぐ、地中海で育ったミロにとって、太陽も星も身近に存在した賛美すべき自然であったのですから。




たたえられよ 我が主、我らの母 姉妹なる大地によって。 

それらは 我らを 育み、草花をとりどりに染め 

くさぐさの実を 結ばせる。


CANTIC DEL SOL - 上記の詩は『太陽の讃歌』より抜粋

(*ミロは1975年に、聖サンフランシスコの『太陽の讃歌』

に自分の挿絵をつけて特別限定版の挿絵本を製作した)

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# by galerie-h | 2019-03-29 12:19

映画の中のピカソ

もう何年も前の作品になりますが、ミッドナイト・イン・パリというウディ・アレンが監督を務めた映画があります。ご覧になられた方もいらっしゃるかと思いますが、端的にあらすじを言いますと、主人公が現代とベル・エポック(パリが繁栄した華やかな時代)の世界を行き来するお話です。パブロ・ピカソを筆頭にベル・エポックの時代に実在し、活躍した芸術家たちが数多く登場するので、芸術がお好きでしたら、なかなか楽しめる映画だと思います。こういった作品を見ることで、(もちろん映画ですから脚色やフィクションの部分もありますが)それぞれの芸術家が同時代を生き、同じ時の中で互いに影響しあったりしたのだな、ということを映像で見れるのは面白いものです。


もし、もっとピカソのコアな部分に迫りたいという方がいらっしゃいましたら、是非1956年のドキュメンタリー映画、ミステリアス・ピカソ(邦題 ピカソー天才の秘密)をご覧になっていただきたいです。ピカソが絵を描く順序を、その制作過程の様子を1から見ることが出来て大変興味深い仕上がりのドキュメンタリーです。


「昔、母は私にこう言った。お前が軍人になれば、将軍となるでしょう。修道士になれば、法王となるでしょう。そして私は画家となり、ピカソとなった。」

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# by galerie-h | 2019-02-28 11:47

街を歩くと実に様々なポスターに日々出会います。そして街角に新しいポスターが貼られたかと思えば、また違うポスターがその上から貼られたり、張り替えられたりと、情報社会の都会のポスター事情はとかく慌しいものですね。


千差万別のポスターの中で、たまにデザインなどが目を引くポスターに出会うこともありますが、あまり近年でこれは!と思うポスターを見かけた覚えがありません。しかし、最近、実に個人的な感想ではありますが、これはスカッとしてていいな、と思うポスターを見ました。横尾忠則が新しいNHK大河ドラマのためにデザインしたポスターです。ここでポスターの内容の詳細を書きませんが、大変シンプルで良い、と思いました。ポスターの原点回帰というか、簡潔で大胆で自由な印象がします。それは今までに、数々の素晴らしい繊細なポスターを数多く手がけてきた横尾忠則だからこそ、できた技なのでしょう。


時代は少し遡るのですが、シンプルで力強い印象のポスターで、脳裏に思い出すのが、1984年ロサンゼルス・オリンピックの公式ポスターです。ポップ・アートの旗手、ロイ・リキテンスタインが製作しました。

単純なフォルムながら躍動感にあふれる素晴らしいポスターです。

誰が見てもわかりやすく、はっきりとしていて、でもそれだけではない魅力、作家の個性がはっきりとポスターの中に存在しています。


ロイ・リキテンスタインは自分のアート作品について次のような言葉を残しています。


「僕の作品は見方についてであって、形については言及していない」


この彼の言葉は決してポスター論ではないのですが、

ロイ・リキテンスタインが手がけたような、際立つポスターの本質に迫るような言葉にもとれる気がします。

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# by galerie-h | 2019-01-31 13:01