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キース・へリングの描いた犬

新年の睦月もあっという間に過ぎてゆき、早如月へと変わろうとするこの時期は何かと気ぜわしく、ゆっくりと芸術鑑賞をするのは難しい季節だと思われている方もいらっしゃるでしょうか。寒い中、美術館まで足を伸ばすのが億劫ならば、お住まいの近くにあるギャラリーをぶらりと覗いてみませんか。思いがけない小品との出会いに春隣を感じられるかもしれません。

さて、今年2018年は戌年ですね。芸術作品には古今東西、実に様々な犬がモチーフとして描かれてきました。それほど犬というのは古くから人間の最も身近にいる存在であり友であり、親しまれてきた動物だということでしょうか。国内で犬の絵と言われると、例えば円山応挙の「朝顔狗子図杉戸」に描かれたコロコロとした愛くるしい子犬達の姿が頭に浮かびます。円山応挙意外にも国内の作家で犬を描いた芸術家は多数いますが、いずれも大変親しみをもった眼差しで犬を描いた作品が多いように思います。

一方、西洋絵画で描かれる犬は従順の象徴として描かれたり、もしくは性的なニュアンスを含むため寓意として犬が描かれたりもしました。

ストリートアートの旗手、キース・へリングのグラフィティにはしばしば犬が描かれました。しかし、キース・へリングの手によって単純な線で描かれたシンプルな犬達の多くは、可愛らしい存在としては描かれませんでした。キース・へリングは時に犬の絵にダークな意味合いを含んだのです。犬が悪役として描かれることはしばしばでした。キース・へリングはアーティストでありながら社会活動家でもありました。チョークやマジックといった絵筆一本で資本主義の闇、マスメディアや人種差別そしてエイズ撲滅活動、反原発といった脅威に立ち向かった人物です。キース・へリングはある作品で、大きな犬と、その犬に踏みつぶされ、攻撃される人々を描きました。犬が国民を脅かし、搾取する象徴のように描かれました。なぜ、私達の最も身近にいる従順で、多くの人から愛される「犬」が悪の象徴として描かれたのか。そこに含まれるアイロニーとメタファーには様々な読み取りができます。

戌年という新しい年を迎え、どうかこの一年の世相が、平和と平安に満たされた年となるようにと思います。

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by galerie-h | 2018-01-30 12:28