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小磯良平の『斉唱』

前回の記事で小磯良平について触れましたが、彼の代表作といえば皆様はどの作品を思い浮かべられるでしょうか。

清らかな少女達が合唱している様子が描かれた『斉唱』という作品をご存知ですか。小磯良平が38歳という画家として円熟期の頃に描いた作品です。
この作品、よく見ると画面上にいる9人の少女達の顔だちがとても似通っているようにみえます。この少女達、実は同じモデルを様々な角度に変えて描かれました。実際に使われたモデルは一人か二人といわれています。そのため皆似た顔立ちをしています。
それからこの少女達は黒い制服に身を包んでいますが、これは神戸松蔭女子学院の制服です。小磯良平は松蔭の講師を務めていたこともあり、『斉唱』が描かれる二年前には校歌を歌う松蔭の学生の姿が、校歌の楽譜の表紙として描かれました。こういう経緯を見てみると、『斉唱』は画家が生活の身近なところからインスピレーションを受けて制作されたものだろうかと思われますが。。。
しかしながらこの『斉唱』がただの情景描写として描かれた一枚として見過ごすことは出来ません。これが描かれた時代背景を考えてみてください。
1941年、太平洋戦争開戦前夜にこの作品は描かれたのです。

小磯は『斉唱』の制作に先立つ1937年に従軍画家として戦地に赴き戦争画に積極的に取り組みました。しかしこのことについて小磯は後年とても後悔していたことが友人等への発言、書簡等によって知られています。

小磯が戦争前に『斉唱』を描いたことを考えると、そこには画家の様々な思いが込められたのではないかと推測することができるのではないでしょうか。
『斉唱』には反戦の意が込められているという見解があります。また、従軍画家として戦争に協力せざるを得なかった小磯良平の平和への思いが込められているのだともいわれています。

抑えられた色彩、しっかりと大地を踏みしめた素足の清らかな少女達は何を歌っているのでしょうか。賛美歌でしょうか。それとも平和を賛美して何か歌っているのでしょうか。ここに描かれた少女達がおびえることもなく自由にのびのびと歌う姿は未来への希望を込めて描かれたのでしょうか。『斉唱』は私達鑑賞するものに様々な思いを想起させる静謐な作品です。

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by galerie-h | 2016-01-12 12:48